人材戦略
メディパルグループは、「2027メディパル中期ビジョンChange the 卸 Forever ~たゆまぬ変革を~」と「ありたい姿」の実現に向け、「人材は、競争優位や企業価値を創造する源泉」という考え方のもと、“成長戦略”と連動した“人材戦略”を推進しています。
メディパルグループには、「誠実」「倫理観」「使命感」を共通の価値観に持つ多様な従業員が集っており、一人ひとりの個性や能力、強みを大切にした人材戦略を遂行しています。積極的な人材投資を行い、潜在的な人的資本の価値を発掘・顕在化させ、ハーモニーを奏でるように融合してさまざまな可能性を追求していくことで、持続的な企業価値向上につなげています。
人材戦略の位置づけ
社会価値・顧客価値を創造しグループの持続的成長を図るため、「ありたい姿」の実現に向けた成長戦略と人材戦略との連動を特に重視し、施策にも反映していきます。具体的には、組織・人材それぞれの「ありたい姿」を定義し、その実現に向けた「ありたい人材ポートフォリオ」の構築を推進する人材マネジメント施策を展開します。
これによりいかなる環境変化に直面しても、主体的に物事を考え、常に自己変革し、人々の健康と社会の発展に貢献し続けたいと考えています。


ありたい組織像・ありたい人材像の浸透と実現
メディパルグループでは、「ありたい組織像」「ありたい人材像」の実現に向けて、経営者と従業員との直接対話の機会を設けるなど、さまざまなコミュニケーションを通じて理解・促進を図るとともに、従業員の主体性、自律性を重視した、人材マネジメントの機能別アクションプランを立案・遂行しています。
ありたい人材ポートフォリオの実現
2027メディパル中期ビジョンの達成に向けた事業ポートフォリオへのシフトのために、人材の適所適材に主眼をおいた人材シフトが必要であると考えています。基盤事業については付加価値や生産性を向上させながら、さらなる成長をめざします。一方、重点事業として位置づけた新規事業、医療機器・試薬事業、アグロ・フーズ事業などへ人材をシフトさせていくために、事業ごとの人材ポートフォリオの現状と目標を分析・設計・可視化し、量と質両面の人材シフト戦略を遂行していきます。未来を担う人材戦略の推進により、スピーディーな経営判断とたゆまぬ変革が可能となり、持続的なグループの成長と、社会価値・顧客価値の創造につながる体制を構築することができると考えています。
戦略推進体制
人材戦略の推進にあたっては、人材戦略部にて、グループとしての人材戦略の構想・方向性を示し、プラットフォーム構築など全体マネジメントを行っています。そのうえで、具体的な施策はグループ各社の管理本部・人事部門が個別に落とし込み、実践していきます。人材戦略部とグループ各社人事部による共有・調整機関として、月1回の「人材委員会」を開催し、課題・施策・アクションを共有し、検討、議論を行っています。委員会で決定した戦略・施策については、都度、経営層に報告・上申しています。
2024年3月期人材委員会
- 開催実績:11回
- 主な議題
- 評価制度構築プロジェクトの進捗確認
- 職場風土調査の結果分析共有と活用検討
- 次世代経営人材・キーポジション人材育成プログラムの検討
- タレントマネジメントシステムの活用検討
ロードマップ
ありたい組織像・人材像、人材ポートフォリオの実現に向けて、次のステップで「基盤構築フェーズ」と「実行フェーズ」を並行して遂行していきます。
- 現状把握と課題抽出
人材ポートフォリオマネジメントの実践に向けて、どのようなスキルを持った人材がどこに、どのくらいいるのかという現状把握を進めます。並行して課題抽出のため職場風土調査を実施します。 - 施策の実行と人材プラットフォームの構築
抽出された課題(現状)とありたい姿(目標)の双方を踏まえ、施策の実行と人材プラットフォームを構築します。- 人材情報の一元化・可視化・分析
- 未来志向型人材および外部の高度専門人材などの採用の仕組み構築
- タレントマネジメントの仕組み構築・運用
- リスキリングの体系化
- 未来志向型人材育成体系の構築・運用
- キーポジションにおけるジョブ・ディスクリプションの策定・運用
- 戦略的な最適人材配置
- 未来志向型人材育成のための人事評価制度再構築と運用強化
- KPIに基づく進捗管理
人材戦略の「基盤構築フェーズ」と「実行フェーズ」の取組みを並行して遂行するにあたり、人材戦略KPIを設定し、管理を行っていきます。KPIはISO30414も参考にしながら、成長戦略と紐づく当社グループ独自の項目を検討します。

人材情報の一元化・可視化・分析
メディパルグループでは、人材マネジメントのさらなる推進のため、2023年4月にタレントマネジメントシステムを導入しました。グループ各社で保有している人材情報をこのシステムに集約することで、グループ全体の一元化・可視化ができるようになりました。今後は社員一人ひとりの詳細な業務経験や資格情報、保持するスキルやキャリアプランなどを収集し、分析・活用することで、適所適材の人材配置が可能となると考えています。あわせて、人員数や適材の充足状況を確認し、事業戦略と連動した人材ポートフォリオの構築実現を目指します。
未来志向型人材
- 共通の価値観
メディパルグループの人材は「誠実」「倫理観」「使命感」を共通の価値観として、意思決定の基準とし、大切にしています。
「誠実」・・・常に真心を持って、公正・正直に行動している。
「倫理観」・・法律、業界ルールはもちろんのこと、世間一般の常識に沿っている。
「使命感」・・組織や自らのあるべき姿に向かって、責任を持って行動している。 - メディパルグループの未来に向けて、事業基盤を強固にし、変革を推進しながら多様な方向へ事業を発展させるための人材(未来志向型人材)要件として、「経営理念を伝える」「豊かな創造性」「本質を見極める」「周囲を巻き込む」「コミュニケーション」「分析・課題抽出・解決」の6つを定めています。

人材像 | 具体的行動 |
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経営理念を伝える (ビジョンを持って伝える) |
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豊かな創造性 (新たな価値創造) |
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本質を見極める (自分への問い) |
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周囲を巻き込む (チームワークとネットワーク) |
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コミュニケーション (高い対話力) |
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分析・課題抽出・ 解決 (組織課題への取組み) |
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採用
採用活動については、「量」から「質」への転換が不可欠です。メディパルグループの未来志向型人材要件による採用へとシフトしていきます。とりわけ、当社グループの成長戦略をダイナミックに遂行できる高度専門人材については、リファラル採用※をはじめ外部人材獲得の仕組みを構築し、外部人材を積極的に採用していく方針です。
※ 社員が自身の関係やネットワークを通じて採用候補者を推薦し、採用するプロセス
育成
未来志向型人材育成体系の構築・運用
メディパルグループでは、グループ各社がそれぞれの事業戦略推進に向け、Off-JT・OJT・自己学習の育成策を自律的に展開しています。2024年度は、その展開のさらなる強化を図る一方、グループ共通課題である未来志向型人材の育成に向けた新たなグループ育成体系の構築プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、各社における育成策の現状と課題を分析しつつ、未来志向型人材の効果的な育成策を検討しています。その中で実行可能なグループ共通施策は順次導入しており、具体的には、目標管理とコンピテンシー発揮を連動させた新たなマネジメント力強化研修、社員の自律的なキャリア形成を支援する通信教育、成長戦略「デジタルを活用したビジネス基盤の強化」を支えるDXリテラシー向上およびDX専門人材育成のプログラムを実施しています。今後もスピード感を持って未来志向型人材の育成体系構築・運用を図っていきます。
タレントマネジメントの仕組み構築・運用
グループ共通の未来志向型人材の育成体系の整備と並行して、メディパルグループのタレントマネジメントの仕組みの構築も急務です。社員一人ひとりに合わせた育成・キャリア開発を推進していき、より多くの活躍機会を提供することでエンゲージメント向上や離職防止につなげていきます。
特に、グループの未来を担うタレント人材については、次世代経営人材・重要ポストなどのキーポジション人材として、タレントレビューと後継者育成プランによる計画的・戦略的・持続的育成を図り、成長戦略実現の原動力としていきます。その一環としてグループオリジナルの「次世代経営人材・キーポジション人材育成プログラム」を新たに策定し、運用を開始しました。具体的には、課長職を対象とした「メディパル事業構想アカデミー」を2024年7月より第1期生16名を対象に開始しました。
配置
2027メディパル中期ビジョンの「5つの成長戦略」を遂行する中で、事業ポートフォリオのシフトに伴う「人材ポートフォリオのシフト」の実現が課題になっています。
本中期ビジョン達成のために、「社内のどこに(部門・役職・ポジション)」「どのような人材が(職種・スキル・能力・適性・性格タイプ)」「どのくらい(人数)」いるべきか(目標)/いるか(現状)を事業ごとに分析・設計し、最適な人材配置を実現する必要があります。そのために、人材データベース構築を通じてグループ全社員のスキル・経験やキャリア意向の現状把握や可視化を推進していきます。
人材ポートフォリオのシフトにあたっては、単に「量」のシフトではなく「質」についても考慮が必要です。特に、ありたい組織を実現するために必要なキーポジションについては、ジョブ・ディスクリプションを明確化し、その後継者候補の育成プランを作成したうえで、戦略的に取り組むことが重要になってきます。成長戦略遂行に求められる要件とのマッチングをする中で、最適化を図っていきます。
一方で、高度な専門性を有する人材については、データベースを活用し、グループ内の人材発掘・最適配置に力を入れていく予定です。この点については、スピード感も必要であることから、外部からの高度専門人材採用も考慮しながら進めることになります。最終的には、グループ内の全体最適を踏まえ、グループ横断的な人事異動や人材交流を推進する仕組みづくりに着手するとともに、それらの前提となる、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成への支援体制の整備も図っていきます。
評価・報酬
未来志向型人材を育成し、適切な評価・処遇を行うための評価・報酬制度の再構築について、グループ各社からアサインされたメンバーによるプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、各社間で異なっている評価・報酬制度の現状分析・課題把握を行い、各社の競争優位を保持しつつ、グループシナジーを生み出すために、何を共通化し、何を各社に設計・運用していくかなどを検討しました。その結果、グループ共通のメディパル・コア・コンピテンシー(MCC)を定義化し、2024年度よりMCCを評価軸とした新たな評価制度を、導入準備の整ったグループ会社から順次、運用を開始しています。目標管理とコンピテンシーを連動させて、組織の目標達成および社員一人ひとりの目標達成とコンピテンシー開発を促すことができるよう運用強化を図り、多くの未来志向型人材を育成するとともに、グループとしての最適な人材ポートフォリオの構築と最適な人材配置につなげていきます。
エンゲージメントの向上
メディパルグループでは、職場風土調査を実施しています。同調査では、従業員エンゲージメントやワークエンゲージメントといった社員と会社の結びつきや仕事に対する意欲を測定し、ありたい組織像の実現に向けた課題を抽出しています。2023年度の従業員エンゲージメントスコアとワークエンゲージメントスコアは、前年度と比較して統計的に有意な上昇がみられました。事業会社別に課題の特定を行い、経営陣と社員の対話などの取組みを通じて、よりよい職場風土の実現を目指しています。今後も、定期的に調査を実施しながら、創造性豊かな企業文化の醸成と多様な人材の活躍を推進していきます。