人材戦略

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メディパルグループは、社会価値・顧客価値の創造とグループの持続的成長に向け、「ありたい姿」の実現を目指す成長戦略と人材戦略の連動を重視し、各種施策に反映しています。具体的には、組織・人材それぞれの「ありたい姿」を定義し、その実現に向けた「ありたい人材ポートフォリオ」の構築を進める人材マネジメント施策を展開します。これにより、いかなる環境変化にも主体的に対応し、自己変革を重ねながら、人々の健康と社会の発展に貢献し続けることを目指しています。

ありたい人材像「未来志向型人材」

メディパルグループの経営理念の実現に向け、未来を担う人材像として「未来志向型人材」を定義しました。

  • 共通の価値観
    メディパルグループの人材は「誠実」「倫理観」「使命感」を共通の価値観として、意思決定の基準とし、大切にしています。
    「誠実」・・・常に真心を持って、公正・正直に行動している。
    「倫理観」・・法律、業界ルールはもちろんのこと、世間一般の常識に沿っている。
    「使命感」・・組織や自らのあるべき姿に向かって、責任を持って行動している。
  • メディパルグループの未来に向けて、事業基盤を強固にし、変革を推進しながら多様な方向へ事業を発展させるための人材(未来志向型人材)要件として、「経営理念を伝える」「豊かな創造性」「本質を見極める」「周囲を巻き込む」「コミュニケーション」「分析・課題抽出・解決」の6つを定めています。
未来志向型人材
人材像 具体的行動
経営理念を伝える
(ビジョンを持って伝える)
  • 常に経営理念を実現するための意思決定をする。
  • 自ら明確なビジョンを設定し、情熱を持って周囲の人に語り共感させる。
豊かな創造性
(新たな価値創造)
  • 多方面からの情報を収集し、新たな社会価値・顧客価値を創造する。
  • 既存のやり方にとらわれず、過去の延長線上から脱却できる革新的・独創的アイデアを提案する。
  • 物事を外から見る目を持っている。
本質を見極める
(自分への問い)
  • メディパルグループの存在意義、自らの存在意義を自分に問い続ける。
  • 何のために取り組むのかを自らに問い、手段が目的にならないようにする。
  • 自他の成長のための努力を惜しまない。
周囲を巻き込む
(チームワークとネットワーク)
  • 自らが所属する組織のみではなく、部門を超えて周囲の協力を引き出しながら一体感を醸成する。
  • 組織目標達成のために、リーダーシップを発揮している人に自ら積極的に協力し、守備範囲以上の仕事をしながら建設的な意見を述べる。
  • 常に自らのアンテナを高くし、情報・人的ネットワークを広げる。
コミュニケーション
(高い対話力)
  • 他者と信頼を構築しながら話を傾聴し、本音ベースでの対話を実践する。
  • 的確なフィードバックと自由闊達で建設的な意見交換を実践する。タフな会話ができる。
  • 他人の意見を聴くことで、自らの成長につなげる。
分析・課題抽出・
解決

(組織課題への取り組み)
  • 科学的に自らが所属する組織の現状を分析・課題を抽出し、主体的に課題解決に取り組む。
  • できない理由を探すのではなく、どうしたらできるのかを考え、常にスピード感を持って行動に移す。

人材戦略グランドデザイン

メディパルグループは、経営戦略と連動する人材戦略の基盤として「人材戦略グランドデザイン」を策定しています。人材戦略のゴールである「グループ人材価値の最大化」は、個の進化と、それを生かす組織の進化との相互作用によって実現すると考えています。この実現に向けて、5段階の個と組織の成長サイクルを構築しました。個の進化に向けて、「個が育つ・個が集う・個が活きる」という3つの観点から施策を展開し、①個が主体性と強みを発揮し、②その成果や付加価値が③組織内のシナジーを生み、組織の成長につながります。さらに、④成長した組織は新たな価値を創出し、⑤個の活躍機会が広がるという成長の循環を生み出します。この循環は人的資本を強化し、ノウハウの蓄積と事業革新、収益構造の強化を通じて企業価値の持続的成長を実現します。

戦略推進体制

メディパルグループでは、人材戦略の推進にあたり、人材戦略部がグループ全体の構想と方向性を策定し、プラットフォームの構築を含む全体マネジメントを担っています。これを基に、具体的な施策はグループ各社の管理本部や人事部門が自社の状況に応じて展開・実行しています。
また、人材戦略部とグループ各社の人事部門との連携を強化するため、月1回「人材委員会」を開催しています。同委員会では、課題、施策、アクションの共有を通じて、相互理解と戦略の実効性向上を測るとともに、全体最適を意識した議論・調整を行っています。委員会で協議・決定された内容は、適宜、経営層に対して報告・上申され、戦略の整合性と意思決定の迅速化につなげています。

2024年度人材委員会

  • 主な議題
    • 新人事評価制度のグループ各社への導入に関する進捗状況と課題の共有
    • 職場風土調査の結果に基づく、改善への取り組みおよび課題の共有
    • 次世代経営人材・キーポジション人材育成プログラムの検討
    • 人材ポートフォリオの実現に向けたタレントマネジメントシステムの活用
    • グループ人材育成体系構築プロジェクトの進捗報告
    • 人材戦略・人材マネジメント全般に関する各社別ヒアリング

人材マネジメント施策

人材情報の一元化・可視化・分析

メディパルグループでは、人材マネジメントの高度化を図るため、タレントマネジメントシステムを導入し、グループ各社が保有する人材情報の一元化・可視化を進めています。2024年度は、キャリア意識に関する情報収集を実施しました。さらに新人事評価制度の運用に関してもタレントマネジメントシステムへの順次移行を進め、評価情報の集約も図っています。これらの情報を分析・活用することで、社員と組織双方にとっての最適な配置を実現し、人的資本の強化につなげていきます。

採用

メディパルグループでは、採用活動において「量」から「質」への転換が重要であると捉え、未来志向型人材の要件に基づいた採用へとシフトしています。リファラル採用などを活用し、外部からの専門性を持つ人材の採用を一層強化していく方針です。あわせて、グループ全体で未来志向型人材の要件に沿った共通の採用方針を導入し、戦略的な人材獲得体制を整備しています。

※ 社員が自身の関係やネットワークを通じて採用候補者を推薦し、採用するプロセス

育成

未来志向型人材育成体系の構築・運用

メディパルグループでは、未来志向型人材の育成をさらに加速するため、各社がそれぞれの事業戦略に沿って展開している、Off-JT・OJT・自己学習を基盤に、グループ全体での育成体系構築プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトでの検討を通じて、グループ共通の課題として浮び上がったのは、「個の成長」「キャリアデザインの浸透」「次世代リーダーの育成」、そしてそれらを支える「組織の成長」であることが明らかになりました。現在、これらの課題に対応する具体的な施策を順次展開し、各取り組みを相互に連動させながら着実に進行しています。
今後は、階層別のリーダーシップ・マネジメント研修や、職層を問わず広く参加可能なコンピテンシー開発研修の導入を予定しています。これらにより、社員の主体的な成長を支援するとともに、グループ全体としての人材育成体系の進化を継続的に図っていきます。
メディパルグループは、こうした施策を通じて未来志向型人材の育成を力強く推進し、持続的な組織成長を支える育成基盤の構築と運用をスピード感をもって進めています。

  • 次世代リーダーの育成
    次世代リーダー育成に向けては、「MP事業構想アカデミー」を通じた選抜プログラムを実施しており、実践的な経営スキルやリーダーシップの向上を目指し、参加者は全カリキュラムを修了し、全員が高い評価を獲得しています。その他、外部プログラムを活用し、女性幹部社員育成ならびに財務リーダー育成のための選抜プログラムを実施しています。

    2024年度実績

    • 次世代リーダー育成プログラム「MP事業構想アカデミー」修了者16名
    • 女性管理職・幹部候補育成プログラム修了者:4名
    • 財務リーダー育成プログラム修了者:1名
  • マネジメント力強化とキャリア形成支援
    管理職層に向けたマネジメント力強化研修では、目標管理とコンピテンシー発揮を連動させ、実務に即したスキル向上を図っています。また、社員一人一人が自律的にキャリアを描けるよう、通信教育講座を継続的に運用しています。社員のキャリアデザインの浸透と成長意欲の向上を後押ししています。

    2024年度実績

    • マネジメント力強化研修:受講者数998名
    • 通信教育講座受講者数:478名(実施講座数:147講座)
  • DXリテラシー向上と生成AIプロジェクト
    「デジタルを活用したビジネス基盤の強化」に向けた取り組みとして、DXリテラシー向上と専門人材の育成を推進しています。2024年度には「生成AIプロジェクト」を立ち上げ、選抜された300名の人材によるトライアルを通じて、生産性向上や新たな付加価値の創出に挑戦しています。得られた知見や課題はグループ内で共有され、今後の展開に生かしていきます。

    2024年度実績

    • DXリテラシー向上自己学習プログラムアクセス回数:2,910回
    • 生成AI活用事例のグループ内共有数:7件

タレントマネジメントの仕組み構築・運用

メディパルグループでは、未来志向型人材の育成体系の整備とあわせて、タレントマネジメントの仕組み構築にも取り組んでいます。社員一人一人に合わせた育成やキャリア開発を進め、活躍機会の拡大によってエンゲージメント向上と離職防止につなげることが狙いです。
とりわけ、次世代の経営人材や重要ポストを担うタレント人材については、タレントレビューと後継者育成プランを通じて、計画的、戦略的、持続的な育成を推進し、グループの成長戦略を支える中核的な戦力として育成していきます。
現在はトライアルとして、グループ各社単位でのタレントマネジメント体制の構築に着手しています。グループ各社の成長戦略をリードするキーポジションを特定し、それぞれに対してジョブ・ディスクリプションを作成しています。求められる人材要件と高い親和性を持つハイポテンシャル人材をタレントマネジメントシステムで抽出し、人材開発委員会で議論の上、後継者育成プランの策定と実行に取り組んでいます。
このトライアルで仕組みの有効性を検証し、今後はグループ全体への本格的な展開を進めていく予定です。

配置

メディパルグループでは、本中期ビジョンに掲げる5つの成長戦略を遂行する中で、事業ポートフォリオのシフトに連動した人材ポートフォリオのシフトを推進しています。人材ポートフォリオのシフトにあたっては、事業ごとの要員計画を策定の上、戦略的かつ最適な配置を図っています。
今後は、成長戦略事業への人材投資を重視し、グループを横断しての人材交流をさらに進めるとともに、社員一人一人の自律的なキャリア形成を支える体制の整備にも取り組んでいきます。

評価・報酬

未来志向型人材の育成と適切な評価・処遇の実現に向けて、グループ各社から選出されたメンバーによるプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトでは、各社で異なる評価・報酬制度の現状分析を行い、競争優位を維持しながらグループシナジーを生むために、共通化すべき点と各社で設計・運用すべき点を検討しました。
その結果、グループ共通の「メディパル・コア・コンピテンシー(MCC)」を定義し、2024年度よりMCCを評価軸とした新たな評価制度の運用を、導入準備の整ったグループ会社から順次、開始しています。目標管理とコンピテンシーを連動させることで、組織と個人の目標達成およびコンピテンシー開発を促進し、未来志向型人材の育成と、グループ全体の最適な人材ポートフォリオと人材配置につなげていきます。

2024年度新人事評価制度

  • 運用状況
    • 新人事評価制度を、グループ7社において導入完了
    • 各社の全管理職を対象に、目標設定、コンピテンシー評価と活用、評定者会議・人材開発委員会の運用方法などに関する評価者研修を実施
    • 各社において評定者会議および人材開発委員会の運用を開始
  • 成果と課題
    • 初年度は、各種研修や説明会、評定者会議、人材開発委員会を通じて、制度への一定の理解と納得を得られ、管理職・社員の前向きな姿勢が見られた
    • 一方で、評価者間での解釈や運用の違いから評価にばらつきが生じた
    • 目標管理とコンピテンシー評価の連動性が不十分で、目標達成や能力開発につながっていない面があった
    • 今後は、評価者研修・マネジメント研修を継続的に加え、被評価者対象のコンピテンシー開発研修を新たに展開し、制度の定着を図る

エンゲージメントの向上

メディパルグループでは、より良い職場風土の実現に向け、社員の意識や職場環境に関する調査を定期的に実施しています。この調査では、従業員エンゲージメントおびよワークエンゲージメントを指標として、社員と会社の関係性や仕事への意欲を測定し、組織の課題を可視化しています。
過去3年間(2022~2024年度)の調査結果では、経年的な上昇がみられました。具体的には、従業員エンゲージメントが3.5→3.7→3.9(5点満点)、ワークエンゲージメントが2.9→3.0→3.2(6点満点)と3年連続で改善が進んでいます。
これまでの調査結果を分析した結果、メディパルグループのエンゲージメント向上に特に寄与する3つの要素として、「組織目標と個人目標の連動」「オープンなコミュニケーション」「組織内の自律性」を特定しました。今後はこれらの要素に重点を置いた取り組みを展開していきます。
また、事業会社ごとの課題を明確にした上で、経営陣と社員の対話や組織内ディスカッションを通じて、相互理解と改善意識を高め、より良い職場づくりを進めています。今後も調査の継続を通じて、創造性豊かな企業文化の醸成と多様な人材の活躍推進を図っていきます。