社長メッセージ

変わらぬ想いは、メディパルの原動力

メディパルグループでは、医薬品から医療機器、臨床検査試薬、日用品、化粧品、食品加工原材料まで、人々の生命や健やかな暮らしを支えるために欠かせない商品を幅広く取り扱っています。これらが安全・安心・安定的に届くという日々の“当たり前”を、平時はもちろん、有事の際にも支えることが私たちの役割であり、社会的責務であると考えています。この想いは創業以来変わることなく、現在に至っています。
2024年1月、令和6年能登半島地震が発生した際、速やかに災害対策本部を立ち上げ、必要とされる商品の供給に努めるとともに、被災地の従業員とそのご家族、お得意様、地域の皆様の思いに寄り添った支援活動を行いました。有事に迅速かつ的確に動けるのは、1995年の阪神・淡路大震災での経験、その後のさまざまな自然災害時の経験を積み重ねてきたことによるものです。
日本は、地震、台風、豪雨、豪雪など自然災害の多い国です。それゆえ、当社グループでは「この国で、薬を届けるという使命。」を全従業員で共有しています。過去の経験を通じて、自分たちの事業が何であるか、どうあるべきかを考え、継承していく。当社グループの成長の原動力は、こうした経験と挑戦の積み重ねであり、世代を超えた人材の融合によるものだと思います。

「Change the 卸」に取り組む意義

当社グループは、「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」という経営理念のもと、グループ化や事業再編を積極的に行い、事業フィールドを「医療と健康、美」へと拡大してきました。加えて、安定供給を可能とする強靭な物流機能と流通ネットワーク、高い専門性を持った営業力を全国規模で構築し、これらの強みを活かすことにより、サプライチェーン全体の最適化を図る活動を行っています。
今日の日本は、世界に類を見ない少子高齢化の進展、社会保障費の増大、労働力人口の減少などにより、ビジネスを取り巻く環境が大きく変化してきています。こうした変化は今後さらに激しさを増すことが予想され、企業の存続には過去の慣習や従来の考え方に捉われることなく変革を進め、収益構造を変えていくことが不可欠であると考えています。
この変革に向けて、2014年以降、「Change the 卸」と称したビジョンを展開しており、卸のあり方を変えていくことに挑み続けています。「ありたい姿」には、「『医療と健康、美』を広げ、支え、つなぐ 健康応援オーケストラ」を掲げ、従業員、グループ会社やパートナー企業がそれぞれの役割・強みに磨きをかけながら、掛け合わせていくことで生まれる新たな価値により、人々の健やかな暮らしのお役に立ちたいという企業像を思い描いています。
現在、進めている2027年3月期までの「2027メディパル中期ビジョン」では、「海外への進出」「予防・未病、アグロ・フーズ領域の事業拡大」「デジタルを活用したビジネス基盤の強化」「持続可能な流通の構築」「地域医療における価値共創」の5つを成長戦略に据えています。主な活動事例をご紹介すると、

  • 海外への進出
    JCRファーマ(株)とともに国内外での医薬品開発に挑戦。超希少疾病に苦しむ患者さんとご家族にとって新たな治療方法の実現と提供を目指す。

  • 予防・未病、アグロ・フーズ領域の事業拡大
    予防・未病領域における新規ビジネスへの挑戦やMP五協フード&ケミカル(株)とメディパルフーズ(株)の子会社2社を経営統合し、日本の食を取り巻く環境変化に対応した新たな価値創造を目指す。

  • デジタルを活用したビジネス基盤の強化
    医療に関連した、さまざまな特長を有するベンチャー企業に投資し、当社グループのリソースとの融合により、利便性のある新たなサービスを創造し、普及させる。

  • 持続可能な流通の構築
    九州エリアにおける医薬品流通の基盤を強化。また、物流合弁会社を立ち上げ、医薬品と臨床検査検体の共同輸配送(シェアリングロジスティクス)の実現を目指す。

  • 地域医療における価値共創
    希少疾病領域に特化した活動や、女性特有の疾病に特化した専門組織をつくり、地域の医療機関や自治体などとの連携により疾患の啓発や潜在患者さんの発掘を行う。

といったことに注力しています。
当社グループでは、病気になった際の治療だけでなく、病気になる前、つまり予防・未病の段階、また、人の良き伴侶となる動物の医療、さらには心と身体を豊かにする食生活にまで広く目を向け、多くの人々の願いでもある健康寿命の延伸に寄与する取組みに力を入れていきます。病に苦しむ人が減り、人々の暮らしがより健やかなものとなり、その結果として社会の発展につながれば、これほど幸せなことはないと思っています。

成長戦略を推し進めるのは人材の力

5つの成長戦略を進めていくうえで重要になるのが「人材」です。とりわけヘルスケアの世界では、たとえ最新鋭のシステムが導入され、デジタル化が進んだとしても、リアルな世界、つまり「人と人」のつながりがなければ成り立ちません。
当社グループでは、変化の激しい時代に求められる人材像を「未来志向型人材」と定義しており、ありたい組織像やありたい人材像、そしてありたい人材ポートフォリオの実現に向けた取組みを進めています。
多様な価値観を持つ者同士が互いを認め合い、尊重し合い、年齢・性別・キャリア・役職などにかかわらず切磋琢磨しながら、明るく、楽しく、前向きに取り組める創造性豊かな企業文化を醸成していく。このことがグループの成長、さらには未来への道を切り拓いていくことにつながると考えています。

積極投資、資本政策、株主還元

現在、当社グループはビジョンに沿って変革を推進しており、新たな事業への投資を積極的に行っている局面にあります。
そのような中で、「資本政策に関する基本方針」に沿い、「資本収益性の向上」と「資本コストの低減」を両輪とした事業・財務活動を通じて、企業としての持続的成長と企業価値最大化に努めています。
主な取組みの一つに、政策投資株式の削減があります。株式保有リスクの抑制や資本効率性の観点から、その残高を削減することを基本方針としており、今後も継続して取り組んでいきます。
また、株主の皆様への利益配分については、原則として「本中期ビジョンに掲げた成長投資に伴い発生するのれん償却費・無形資産償却費控除前の利益に対する配当性向を安定的に維持・向上させる」こととあわせて、資金需要を総合的に見極めながら、資本効率の向上と一層の利益還元を目的とした「自己株式の取得・消却」を弾力的に実施しています。

サステナビリティは社会との共存共栄

サステナビリティとは「社会との共存共栄」であると捉えており、当社グループでは、経営理念に基づく事業活動やSDGsをはじめとした社会課題との関連性を整理し、その解決とグループの持続的な成長を両立させるための重要課題(マテリアリティ)を6項目特定しています。グループ各社との連携・協力により、サステナビリティ経営を積極的に推進しています。
中でも、グループコンプライアンスの強化とガバナンス体制の構築にも力を注いでいます。グループ全体での教育を充実させるとともに、取締役会においても、コンプライアンスの遵守状況をモニタリングする仕組みを構築し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図り、健全で透明性の高い企業経営を行っています。
企業は社会を構成する一員であり、社会の発展に貢献することが役割です。人々の豊かで健やかな生活に貢献する価値を生み出し続けることこそが私たちの大きな役割であると思います。当社グループは、これからも時代の先を見据え、主体性を持ってたゆまぬ変革を行うことで社会との共存共栄を図り、ステークホルダーの皆様とともに成長・発展していく企業であり続けたいと思います。