成長の源泉
サプライチェーンの全体最適を
実現する物流機能
「医療と健康、美」の事業フィールドで、メーカーと全国の医療機関や調剤薬局、小売業様などを独自開発の高機能物流センターでつなぎ、必要な商品を、必要な回数で、必要な量だけ、効率よく確実にお届けする仕組みを構築しています。また、温室効果ガス排出量削減をはじめとする環境負荷低減に取り組んでいます。
高機能物流センターであるALCおよびRDC
高機能物流センターであるALC(Area Logistics Center)およびRDC(Regional Distribution Center)は、メディパルグループが社会インフラの役割を担うための重要な物流基盤です。サプライチェーンの全体最適をめざして、欠品やミスのない確実な納品と、有事の際も止まらない盤石な流通の実現に努めています。
ALCは、医療用医薬品等卸売事業における物流拠点です。お得意様に近い場所に設置したセンターで、医薬品・医療機器・臨床検査試薬など20,000品目を超える在庫を有し、お得意様に直接お届けすることで、受注から納品までのリードタイム短縮を実現しています。現在、国内12か所※で稼働しており、今後、新たに阪神ALCを設置予定です。これにより、日本全国をカバーする医療用医薬品の物流プラットフォームが完成します。
RDCは、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における物流拠点で、国内16か所※で稼働しています。さまざまな小売業様の業態・売場に合わせ、約50,000品目の生活必需品を効率よくローコストでお届けしています。
※2022年9月末時点
ALCの特長
検品時間の短縮
顧客の時間創出
納品箱のバーコードをスキャンすること(個口スキャン検品*)による検品時間の短縮など、納品精度の高さを活かした物流機能や、PRESUS®*、McHIL®*といったALCと連動した業務サポートシステムによって、お得意様の業務効率化を支えています。
品揃え率
99%以上
20,000品目以上の多種多様な商品を適正に管理するために、出荷実績をベースにした需要予測システムを独自に開発し、品揃え率は99%※以上と、品切れがほとんどない状況を実現しています。
※常時在庫品揃え率は99.8%
超低温物流
-150℃以下
再生医療等製品などに求められる-150℃以下の超低温を含めたさまざまな温度帯に対応した保管・配送システムを開発し、全国どこにでもお届けできる温度帯別物流プラットフォームを構築しています。
*個口スキャン検品:従来の伝票読み上げ方式から、納品箱単体でのバーコードスキャン方式に変更することで、検品時間を短縮する方法
*PRESUS®:Pharmacy Real-time Support System ALCと連動して、需要予測による自動発注や在庫管理などを行うオールインワンのシステム。調剤薬局内の各種業務を支援
*McHIL®:Mediceo Hospital Innovative Logistics ALCの機能とノウハウを病院内の物流に応用したシステム。院内物流業務の効率化を支援
RDCの特長
出荷精度
99.999%
JANおよびITFコードによるスキャン検品、重量検品などにより、ミスが極小な出荷精度を実現し、流通EDIへの対応が可能な高精度システムを導入しています。これにより、出荷のミスをなくすことでスピーディかつムダのない物流を実現しています。
生産性
2倍
「SPAID*」導入により、従来と同じ作業人員数で2倍の作業量を処理すること(生産性2倍)が可能となるだけでなく、物流機能強化に加え、危険作業や人への負担の多い作業をロボットに任せることなどにより「人にやさしい物流センター」を実現しています。
特許件数
18件(2022年3月末時点)
高生産性とローコストを実現するための物流技術を追求しています。最先端のAIテクノロジーとロボティクスを駆使した新しい物流システムを構築するため、自社での技術開発も進め、特許を取得した機器・システムは18件に上ります。
*SPAID: Super Productivity Advanced Innovative Distribution AIや最新のロボット技術・MUPPSなどを導入し、独自開発した次世代型物流センターのトータル管理・運営システム。従来と同じ作業人員数で従来比約2倍の作業量を実現する
FOCUS
再生医療等製品の流通を支える超低温輸送システム
~医療用医薬品等卸売事業~
再生医療分野の医薬品の流通拡大を見据え、-150℃以下の超低温下での保管設備と配送体制を構築し、メーカー出荷時から患者さんのもとまで、安全・安心にお届けしています。
TOPICS
トレーサビリティと温度帯物流
当社グループは、高度な温度と振動などのモニタリング技術を有するパートナーと、医薬品の温度などの品質情報をシームレスにモニターするクラウド型システムを共同開発します。この技術を活用し、製薬企業から患者さんまでのトレーサビリティの完全化とGDPガイドラインへの対応を進めることにより、業界における強みを確立していきます。
※GDP(Good Distribution Practice:医薬品の適正流通)ガイドライン
流通経路(仕入・保管・供給)の管理が保証され、医薬品の完全性が保持されるための手法、さらに、偽造医薬品の正規流通経路への流入を防止するための適切な手法を定めたもの。
新規事業の位置づけと優位性
メディパルグループの新規事業は、従来のビジネスインフラの上に成り立っています。全国規模の流通プラットフォームや専門性の高い人材といった当社グループの強みを最大限に活用し、製薬企業、医療機関、医師・医療従事者のニーズに応え、市場を創造しています。2011年に取組みを開始したPFM®、ARによる適正な情報提供、PMS、リアル営業と融合を図るデジタル事業、海外事業を新規事業と位置づけています。
当社グループの新規事業の優位性は、ポテンシャルのある有望なプロジェクトを初期段階で発掘し、社会貢献と収益獲得の両立が可能なビジネスモデルを構築する洞察力と実行力にあります。
ARによる適正な情報提供
ARが医療機関に対し適正な情報を提供し、医薬品の適正使用に貢献しています。また、専門性の高い知識を活かし、大手製薬企業などと情報の提供や収集業務を受託する契約を結んでいます。そのほか、希少疾病用医薬品や再生医療等製品などの専門性・特殊性を伴う流通にも携わっています。
PFM® プロジェクト・ファイナンス&マーケティング
PFM®とは、製薬企業などの新薬開発に当社が投資し、その上市が実現した後は投資に対するリターンを得る(プロジェクト・ファイナンス)とともに、医療機関への販売・流通(マーケティング)を優先的に行う事業です。
PMS 製造販売後調査
PMSとは、医薬品や医療機器が販売された後に行われる品質、有効性および安全性の確保を図るための調査です。当社グループはPMS業務をプロトコールデザインから報告書作成までフルレンジで受託しています。
デジタル事業
優れた技術を持つICT企業と強力なパートナーシップを構築しており、医療機関への情報提供や、患者さんを中心とするヘルスケアのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
海外事業
事業エリア拡大のため、海外進出の足場づくりを着実に進めています。2009年に中国の医薬品卸に出資を行って以降、海外でのビジネス経験を重ねており、ノウハウも蓄積され、人材も育ってきています。
新規事業の取組みによる業績貢献
「2022メディパル中期ビジョン Change the 卸 Future -未来への変革」において、新規事業は「創造」から「拡大」へとステップアップを図りました。その成果として、新しい収益が着実に上がってきており、業績への貢献度が年々高まってきています。
2022年3月期の売上総利益は91億円でした。「2027メディパル中期ビジョン Change the 卸 Forever ~たゆまぬ変革を~」においても、新規事業は重要な成長ドライバーとして収益拡大に貢献していきます。
PFM®(プロジェクト・ファイナンス&マーケティング)の意義と主な商品
希少疾病用医薬品の開発支援により、患者さんとそのご家族のQOL改善に貢献
PFM®は、主に希少疾病用医薬品の開発促進と安定供給を通じて、病気で苦しんでいる患者さんやそのご家族に貢献する、当社グループの社会的使命を具現化したビジネスモデルです。
今後も、患者数の少ない希少疾病用医薬品の事業化と安定供給を支援します。
メディパルグループにしかできない画期的なサービスを提供
多様化する社会ニーズに対応していくため、さまざまな分野の企業、医療機関、自治体との協業により、これまでにない新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいます。当社グループの持つ製薬企業や医療機関とのネットワークに加え、全国をカバーする流通網や特殊温度帯下での医薬品流通技術などを活用することで、当社グループにしかできない画期的なサービスを生み出しています。
主なパートナーとの取組み
SBIインベストメント(株)
2021年にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド「MEDIPAL Innovation 投資事業有限責任組合」を共同で設立。同社がこれまでに培ってきたベンチャー企業育成の知見を活かし、メディパルの事業とシナジー効果が見込まれるベンチャー企業への投資を行う。
H.U.グループホールディングス(株)
2020年に医療・ヘルスケア領域における戦略的業務提携。受発注システムや倉庫の共有化、シェアリングロジスティクスの実現を通じて、ESG・SDGsの観点からより環境負荷の少ない事業運営をめざす。また、医療・健康情報の活用や、再生医療分野での事業を探索。
三菱倉庫(株)
2019年に業務提携。市場出荷後から最終需要者までのすべての過程における全体最適な医薬品流通体制の構築をめざす。また、GDP(医薬品の適正流通)ガイドラインに準拠した医薬品保冷配送サービス「DP-Cool」を活用し、厳格な温度管理下での流通プラットフォームを構築。
(株)エムティーアイ
2016年に資本業務提携。同社の運営する女性と医師をつなぐサービス「ルナルナ メディコ」や母子手帳アプリ「母子モ」の普及・促進、同社の子会社である(株)カラダメディカの運営する「CARADA オンライン診療」「CARADA 電子薬歴 Solamichi」の普及・促進など。
メディカル・データ・ビジョン(株)
2006年に資本業務提携。同社の子会社である(株)Doctor bookとの共同による医療情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」の運営・制作など。
パートナーシップ構築における主な取組み
2006年~ 医療の効率化
2006年、メディカル・データ・ビジョン(株)と資本業務提携。2019年、同社の子会社である(株)Doctorbookとの共同による医療情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」の展開を開始しました。
2016年~ 健康増進
(株)エムティーアイと資本業務提携。同社の運営する女性と医師をつなぐサービス「ルナルナ メディコ」や母子手帳アプリ「母子モ」の普及によるシェア拡大に向けた取組みを行っています。
2019年~ 医薬品の安定供給
三菱倉庫(株)と業務提携。市場出荷後から最終需要者までのすべての過程における全体最適な医薬品流通体制の構築をめざしています。
2020年~ 物流機能の融合
H.U.グループホールディングス(株)と医療・ヘルスケア領域における戦略的業務提携契約を締結しました。
2020年~ サプライチェーン全体の生産性向上
大手調剤薬局グループやドラッグストアと共同でSDGs達成に貢献する新たな医薬品流通モデルの構築に取り組んでいます。
2021年~ 積極的な成長投資
SBIインベストメント(株)と共同で「MEDIPAL Innovation投資事業有限責任組合」を設立しました。
デジタル・ヘルスケア・プラットフォーム
医療・ヘルスケア領域におけるデジタル・ヘルスケア分野では、「リアル」の人によるコミュニケーションと、「デジタル」を介したコミュニケーションを融合することで、医療機関のみならず患者さんや生活者の健康の役に立つサービスを数多く提供しています。
今後、医療や個人の健康管理にデジタルを活用していく流れが加速していくと予想しています。当社グループがそのプレイヤーとして存在感を発揮するため、デジタルヘルスケアのプラットフォームづくりに注力しています。
デジタル・ヘルスケア・プラットフォームを構築中 ~リアル営業とデジタルの融合~
TOPICS
CVCファンドによる主な投資実績
「MEDIPAL Innovation 投資事業有限責任組合」
設立日 :2021年3月9日
運用期間 :10年
投資対象 :主にメディパルの既存事業分野と新規事業分野において事業シナジー効果が見込まれる国内外のベンチャー企業
ファンド規模 :100億円
2021年8月:リバーフィールド(株)
独自の空気圧制御技術による手術支援ロボットの開発
2021年11月:Holoeyes(株)
画像情報をコンピュータ処理し、診療のために提供するプログラムや、三次元空間上において複数人で同時に没入体験をしながら遠隔カンファレンスができる医療支援サービスを開発
2021年12月:イノバセル(株)
便失禁・尿失禁領域を中心としたアンメットメディカルニーズの高い疾患に対する再生医療等製品を開発
2022年5月:Chordia Therapeutics(株)
特定の異常を有するがんに効果が期待される複数のFirst-in-Classの抗がん薬の研究開発
2022年9月:(株)イーベック
ヒト末梢血細胞から作製したさまざまな完全ヒト抗体を医薬品用抗体として開発
共通の価値観
日常業務での意思決定の拠り所として、「経営理念の実現」に加え、共通の価値観として、「誠実」「倫理観」「使命感」の3つを定めています。
「誠実」
常に真心を持って、公正・正直に行動している。
「倫理観」
法律、業界ルールはもちろんのこと、世間一般の常識に沿っている。
「使命感」
組織や自らのあるべき姿に向かって、責任を持って行動している。
高度な専門性を有する人材
お得意様やメーカーの皆様、そして患者さんをつなぐ「医療のコーディネーター」として、課題解決の提案ができるよう、高い倫理観と高度な専門知識を備えた人材を育成し、持続的な成長を支えています。
専門知識を有する人材の一例
(単位:名)
資格名 | 2022年3月期 |
---|---|
MR認定資格※1 | 2,531 |
DMR*認定資格※1 | 435 |
薬剤師(管理薬剤師含む)※2 | 495 |
獣医師※2 | 7 |
危険物保安監督者※2 | 52 |
※1 累計合格者数
※2 期末時点での推移
*DMR:Diagnostics Medical information Representatives 臨床検査薬情報担当者
ARの位置づけ
医療用医薬品等卸売事業では、2009年からMR(医薬情報担当者)認定試験への挑戦を支援する、独自の教育プログラムを実施。AR*の特長は、MSとしての機動性とMRとしての専門性を兼ね備えていることです。
*AR:Assist Representatives MR認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や薬剤師などに付与した社内呼称
*MS:Marketing Specialist 医薬品卸売業の営業担当者
*MR:Medical Representatives 製薬企業の医薬情報担当者
TOPICS
地域医療コーディネーター
ARの専門性を活かし、流通価値を提供する
専門知識とスキルを有するARは、質の高い営業活動を広く行うとともに、新たな価値を創造するビジネスの推進役としての役割も担っています。
希少疾病に特化して活動するARを、RD-MR(RareDisease MR)として任命し、主に病院市場において希少疾病用医薬品の情報提供・収集活動を行っています。製薬企業でのMR業務の経験や、疾病・病態に関するより高度な知識の習得とともに、販売情報提供活動ガイドラインを遵守した活動を行います。
女性診療科領域の専門知識を有するARの女性営業担当者を、ウィメンズコーディネーターとして任命しています。受託製品に応じたトレーニングを十分に積み、情報提供活動ガイドラインを遵守しながら、情報提供・収集活動を行います。
いずれも、地域医療コーディネーターとして、地域の顧客、医療機関、自治体が抱えるヘルスケア課題を抽出し、その解決策を提案することで社会価値を創造していきます。
地域医療コーディネーターとは?
「地域連携調査」などによる定性的情報の収集から「病診連携講演会」「Doctor to Doctor 勉強会」などの実施をはじめ、疾患啓発や患者発掘、基幹病院への患者紹介など、リアルとデジタルで医療の関係者をつなぎ、地域医療構想の実現に貢献する新しい営業です。