社外監査役インタビュー

取締役会および
幹部社員の多様性を進め
ガバナンス体制の一層の強化を図る

株式会社メディパルホールディングス
社外監査役

佐貫葉子

取締役会においては活発な議論を展開

社外役員としての経験は、24年前のクラヤ薬品(株)の社外監査役が初めてでした。その後、2003年から4年間、2度目の社外監査役((株)クラヤ三星堂)に就任し、2019年6月より当社の社外監査役を務めています。当社の取締役会は以前からリーダーシップのある経営トップのもとで、社内役員・社外役員にかかわらずオープンで活発な議論が行われています。コーポレートガバナンス・コードでは、経営の「監督と執行の分離」が大きなテーマとなっていますが、これは当社に限らず、日本企業においては共通の課題であると認識しています。現状、戦略などについて社内役員と社外役員で議論し合って最適解を見出すということがしばしば行われており、当社にとって適切なガバナンスの在り方ではないかと思っています。ただ不断に検証していく必要はあると思います。
また、サポート体制については、関係部署と適時、メール・電話等で情報交換を行っているほか、取締役会に向けて開催される事前説明会は、大変有意義な場となっています。同会は、ミニ取締役会の体で、社外役員の方々と執行部門が、取締役会とは違った雰囲気でざっくばらんに意見交換ができることから、多面的に事案を分析・検討することができます。現在、定期開催ではありませんが、社外役員のスケジュール面を過度におもんぱからず、常時開催されることが望ましいと考えています。

グループ全体のガバナンスの現状と課題

当社グループは、医療用医薬品等卸売事業を中核に、(株)PALTACによる化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業およびMPアグロ(株)およびメディパルフーズ(株)による動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業と、多角的に展開しています。グループガバナンスの観点からは、(株)PALTACといわゆる親子上場していることについて十分説明を受けており、業態的にも異なることから、シナジー効果を追求しながら一定の自由度をもって経営していくことが適切であると捉えています。一方、リスク管理やコンプライアンスについては、経営の独立性を損ねない範囲で、ホールディングカンパニーである当社が、連結子会社の管理機能を統括していくことで、グループ経営の効率性につながる面があると考えます。
当社グループのコンプライアンス意識は、一般的には比較的高いものであると感じていました。今般の(株)メディセオの独占禁止法違反の疑いについては、渡辺社長が先頭をきってこれまでの慣行から脱却するという強い意志を示し、行動したことは非常に有意義であり、全役職員にコンプライアンス意識を徹底することができたといえます。これを機に、法令遵守のもと、適正な競争により、一層の躍進を図ることが期待されます。
また、新たに改訂されたガバナンス・コードでは、「中核人材における多様性の確保」が求められています。執行役員や部長クラスでの女性の登用などについての考え方と測定可能な目標を設定しなければなりません。そのためには、幹部候補の育成を組織的・戦略的に推進できる仕組みの整備が必要であると考えています。

「未来への変革」を遂げるための転換点

「OROSHI=卸」という業態は、さまざまな制約の中で利益を上げるという難しさをはらんでいます。当社を取り巻く企業環境は目まぐるしく変化し、今、転換点を迎えているのではないかと思います。新規事業については、経営計画を超えて進展していますが、戦略的投資案件も増えてくると予想されます。今後は、新規事業・IT部門を含め、中長期の投資戦略、財務戦略等について意見交換を行うことが必要であると感じています。

経歴/弁護士として在籍していた法律事務所が大手製薬会社の顧問事務所であった関係で、クラヤ薬品(株)の社外監査役に就任する。以降、複数の企業の社外取締役、社外監査役を歴任。弁護士実務を通じて培われた豊富な経験および企業法務の専門的な知識等を活かし、当社の監査を行う。(2021年6月末時点での通算在任年数は9年半)