リスクマネジメント

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基本的な考え方

メディパルグループは、事業等のリスクにおいて、規則、ガイドラインの制定、研修の実施、マニュアルの作成等を行い、その周知徹底を図っています。なお、反社会的勢力による経営活動への関与については、危機管理担当役員のもと、対応する部門を定め、一元的に管理することにより防止を徹底しています。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度への対応としては、各部門において内部統制の維持・整備機能を担い、さらに、そのモニタリングを実施するための権限を有した監査室を設け、グループ会社の内部監査部門との連携により、損失の危険を早期に発見することに努めています。

事業等のリスク

メディパルグループの事業等に関する主なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてメディパルグループが判断したものです。
これらの他にも、さまざまなリスクが存在しており、ここに記載されたリスクがメディパルグループのすべてのリスクではありません。

1. 医療保険制度について

メディパルグループが主たる事業とする医療用医薬品等卸売業界は、わが国の社会保障制度や医療政策と密接に関連しています。わが国では、人口構造の変化による社会保障給付費の増大などの環境変化に伴い、医療制度改革が進められています。
今後、予測できない大幅な制度変更が行われ、メディパルグループの事業構造に関わるような事態が発生した場合には、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

2. 薬価制度について

メディパルグループの主要取扱商品である医療用医薬品は、薬価基準に収載されており、薬価基準は保険医療で使用できる医薬品の範囲と使用した医薬品の請求価格を定めたものです。従って、薬価基準は実質的に販売価格の上限として機能しています。
医療費抑制策の一環として、薬価基準で定められた価格(薬価)は市場実勢価格の調査結果に基づいて改定が行われています。
これまで原則として2年に1度実施されていた薬価改定が2021年度からは中間年の改定が実施されています。医療機関等への販売価格低下などの影響が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

3. 特有の法的規制等にかかるものについて

メディパルグループは、各種の医薬品およびその関連商品を取り扱っており、主に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」の規定により、各事業所が所轄の都道府県知事より必要な許可、登録、指定および免許を受け、あるいは監督官公庁に届出の後、販売活動を行っています。このため、監督官公庁等の許認可の状況により、医療用医薬品等卸売事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的に規制緩和等によって、異業種の事業者がメディパルグループの事業領域に参入した場合には、メディパルグループのビジネスモデルや従来有する強みを維持または拡大することが困難となり、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

4. 医療機関などとの取引慣行について

メディパルグループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという特有の取引慣行が存在しています。かかる取引慣行を改善するために、2018年4月に流通改善ガイドラインの運用が開始されましたが、交渉が難航した場合には、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格により売上計上しています。
このため、決定した取引価格と見積価格との差異が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

5. 製薬企業などとの取引慣行について

メディパルグループの主要取扱商品である医療用医薬品の仕入先である製薬企業などとの間には、実質的な仕入価格の引き下げ効果のある「割戻金(リベート)」や「報奨金(アローアンス)」などの取引慣行が存在しています。製薬企業などとは良好な取引関係を継続していますが、製薬企業などの営業戦略に大幅な変更が生じ、かかる取引慣行に変化が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

6. 競争環境の変化について

メディパルグループが主たる事業とする化粧品・日用品、一般用医薬品卸売業界において、業種・業態を超えた競争の激化やM&Aによる規模拡大が続いています。このため、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業では取引先のニーズを捉え、環境の変化に即座に対応できる組織を構築しています。しかしながら、今後さらなる競争の激化や取引先の企業再編等により取引先の政策や取引条件が大幅に変更された場合には、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

7. システムトラブルについて

メディパルグループは、「医療と健康、美」の流通を安定的に支える社会インフラとして、サプライチェーンを効率化、高度化するために、IT化を積極的に推し進めています。
メディパルグループの事業運営は、コンピュータネットワークシステムに依拠していることから、基幹システムのサーバ・ネットワークの二重化やサーバ設置建屋の免震・防災・停電対策およびデータバックアップ環境の設置などのほか、ウイルス対策、不正アクセス対策、モバイルパソコンのデータ暗号化などのセキュリティ対策を講じていますが、万が一、システムが機能停止した場合には、販売・物流に大きな支障が生じ、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

8. 情報の漏洩について

メディパルグループが保有する顧客情報や機密情報などの情報資産の保護については、情報セキュリティポリシーに基づき、外部に漏洩しないよう管理体制の整備に努めるとともに、全従業員を対象に年2回の情報セキュリティ研修を実施していますが、不測の事態により、これらの情報が漏洩した場合には、社会的信用の低下による売上高の減少や対策費用の増加等により、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

9. 災害、交通事故について

メディパルグループは、医薬品、日用品など、健やかな生活に欠かせない商品の流通を担っており、平時・有事を問わず、必要とされる商品を確実にお届けするために、さまざまな対策を施しています。

(1)災害について

メディパルグループは、地震・台風などの自然災害や新型インフルエンザの流行などに備え、危機管理体制や有事の際、迅速に供給活動を行うためのBCP(事業継続計画)を策定していますが、万が一、大規模災害が発生した場合には、事業が停止し、販売機会損失による売上高の減少または復旧費用の発生などにより、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)交通事故について

メディパルグループは、お得意様への営業や商品の配送に多くの車両を用いています。環境負荷の低い車両の導入を進めるとともに、交通事故を防ぐために、ドライブレコーダーの設置や自動ブレーキを装備した車両の導入などを進めています。
また、安全運転月間を定めたり、警察の指導による講習会を開催するなど、交通事故防止の啓発活動に積極的に取り組んでいますが、万が一、重大な交通事故を発生させてしまった場合には、社会的信用が低下し、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)感染症について

メディパルグループは、生命関連商品の安定供給を担う企業グループとして、社会経済活動に影響を与えるような感染症の流行の際には、様々な事態の発生を想定し、安定供給体制維持(全国物流センターの相互連携によるバックアップ、商品在庫の充実、機器の定期メンテナンスを前倒しで実施)、感染拡大防止(従業員の感染予防の徹底、車両や設備の洗浄および消毒の徹底、医療機関での感染拡大の防止)に取り組んでいます。
しかしながら、メディパルグループの従業員に感染が拡大するなどして、万が一、物流機能が停止する事態に陥った場合には、医薬品等の安定供給が困難となり、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

10. 気候変動について

メディパルグループは、さまざまなステークホルダーとともに脱炭素社会の実現に向けた取組みを実施しています。一部物流センター間の医薬品輸送において、トラックから鉄道コンテナを利用した輸送へと切り替えるとともに、お得意様と協業し新たな医薬品流通最適化モデルを構築することで温室効果ガス排出量削減を積極的に進めています。
しかしながら将来、災害対策の設備投資、炭素税等のコストが発生した場合や、風水害が甚大化し、営業・物流拠点などの被災や操業停止などが発生した場合には、メディパルグループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

11. 労働力の確保について

メディパルグループが取り扱う医薬品や日用品などを安定的に流通させるためには、質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。
昨今は、人口減少、少子高齢化などによって、流通分野における労働力の確保は厳しさを増してきています。物流センターの省力化や配送見直しによる効率化を推進するとともに、働き方改革に取り組み、労働環境の改善と整備に努めていますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、法令や制度の改正、物価変動などにより従業員に関わるコストが大幅に増加した場合には、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

12. 投資について

メディパルグループは、持続的成長に向け将来への積極投資を行っています。

(1)物流インフラ投資について

メディパルグループは、安全・安心な流通を担うという社会的使命を果たすため、物流やシステムに対する設備投資を積極的に行い、最先端技術を導入しています。これらは、メディパルグループの競争力を維持するためにも不可欠なものですが、投資コストが増大した場合や想定した投資回収ができない場合には、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業開発投資について

メディパルグループは、事業基盤の拡大と収益源の多角化を進めるため、製薬企業などへの新薬開発投資や、海外での新薬開発事業に取り組んでいます。これは、メディパルグループがもつ物流力や営業ネットワークなどの経営資源を有効に活用し、希少疾病の治療を待つ患者さんに医薬品を安定供給することを目的とした取組みですが、新薬の開発は時間を要するほか、中止に至るなど、必ずしも順調に進行しないことがあります。
そのような場合には、想定どおりの収益獲得に至らず損失が発生する可能性もあり、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)資本提携、業務提携について

メディパルグループは、「事業ポートフォリオのシフトとパートナーとの協働で変革・成長する」という中期ビジョンの基本方針に則り、ライフサイエンス分野のベンチャー企業やスタートアップ企業への出資のほか、デジタル分野やロジスティクス分野といった業界の垣根を越えた提携を積極的に進めています。
こうした資本提携、業務提携の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、予期せぬ環境変化や想定した事業計画からの大幅な乖離が生じた場合には、減損損失等が発生するなどして、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

13. 法令違反について

メディパルグループは、「コンプライアンスの徹底」を経営方針の一つに掲げ、社員教育や啓発活動を継続して行っています。
また、公益通報に関する窓口を社内および社外に設置し、グループ内部の問題を早期に発見することに努めています。
なお、2021年1月29日に開催された取締役会において、経営トップがコンプライアンスを重視する姿勢を明確にするため、新たに企業活動指針を制定いたしました。経営トップが全国の拠点を行脚して、当該指針を制定した背景とその精神を全社員に浸透させています。
また、取締役会の諮問機関として、コンプライアンス委員会を設置し、メディパルグループのコンプライアンスを継続的にモニタリングし、遵法精神に則った企業風土を確立してまいります。
しかしながら、法令違反等の問題が発生した場合には、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金などの支払いが生じるだけでなく、メディパルグループの社会的信用の失墜による悪影響など、メディパルグループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。