2026.06.01

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希少疾患の理解のための用語解説:「難病」

「難病」と聞くと、多くの方が「原因がわからない病気」「治らない病気」というイメージを持つかもしれません。実は、医療制度の世界で使われる「難病」は、具体的な条件が定められています。

イラスト:人物「難病?」

1. 法律上の「難病」とは?

難病とは、一般的に原因不明で治療が難しい疾患のことを指しますが、医学的な定義はありません。しかし、適切な方へ適切な支援を行うため、難病患者の支援に関する法律である「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法*)」では、以下の条件すべてに当てはまるものを「難病」と呼んでいます。

*難病の患者に対する医療等に関する法律

■難病法が規定する「難病」の要件
  • 発病の機構が明らかでない
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な疾病である
  • 長期の療養を必要とする

一番誤解を招きやすいのが「治療方法が確立していない」という言葉です。これは「病気を完全に治す(根治させる)方法がまだ見つかっていない」という意味であり、「何も治療の手立てがない」という意味ではありません。症状を和らげたり、病気の進行を抑えたりなど、多くの難病において、より良い状態で生活を送るための治療法(対症療法や管理方法)が存在します。

2. 「指定難病」とは

指定難病は、難病法における難病のうち、患者数が一定の人数に達しておらず、かつ、客観的な診断基準が確立しているもので、厚生労働大臣が指定した疾患のことです。2026年4月現在、348疾病が「指定難病」に指定されています。

指定難病と診断され、一定の基準を満たす場合は、医療費の助成を受けることができます。また、各自治体でより良い日常生活・療養生活を過ごすための支援を受けることができます。
さらに、2024年4月から福祉・就労等の各種支援を受ける際に使える「指定難病登録者証」の発行が始まりました。こちらは難病法に基づく指定難病患者であることを証明するためのもので、医療費助成の対象とならない方でも交付を受けることができます。

なお、「指定難病」には、個別の疾患名ではなく、疾患群(グループ名)で登録されているものがあります。例えば、ライソゾーム病は「ファブリー病」や「ムコ多糖症」といった個々の病名ではなく、「指定難病19:ライソゾーム病」という疾患群で登録されています。

参考リンク|指定難病の一覧(厚生労働省)

図:【難病: ・発病の機構が明らかでない ・治療方法が確立していない ・希少な疾病である ・長期の療養を必要とする【指定難病:難病のうち、以下の要件を満たすもので、厚生労働大臣が指定するもの。・患者数が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度以下)に達しないこと ・客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること】】

3. 障害者総合支援法の「難病」とは

ここまでは難病法という法律の中にある「難病」という言葉を紹介してきましたが、実は別の法律である「障害者総合支援法」の中でも「難病」という言葉が使われ、対象の疾患が規定されています。
障害者総合支援法は患者さんの生活支援を目的としているため、難病法における対象を含んだ、より広い範囲の疾患がカバーされています。

難病法の「指定難病」 障害者総合支援法の「難病等」

主な支援目的

医療費助成
(自己負担の軽減)
障害福祉サービス
(日常生活・社会参加の支援)

対象疾病数
(2026年4月現在)

348疾病
376疾病

対象となる
難病の要件

・発病の機構が明らかでない
・治療方法が確立していない
・患者数が人口の0.1%程度に達しない
・長期の療養を必要とする
・客観的な診断基準等が確立している
・治療方法が確立していない
・長期の療養を必要とする
・客観的な診断基準等が確立している
図:【障害者総合支援法の「難病等」】【指定難病:指定難病はすべて含まれている】より広い範囲を対象としている(例:指定難病は「悪性関節リウマチ」が対象だが、障害者総合支援法ではより広い「関節リウマチ」が対象等)、障害者総合支援法独自の疾患も対象としている(例:加齢黄斑変性、突発性難聴、先天性風疹症候群等)

難病には、「症状の変化が毎日ある」「日によって症状の変化が大きい」「症状が他人から見えづらい」等の特徴に加え、「進行性の症状を有する」「大きな周期でよくなったり悪化したりする」「同じ疾患でも患者さんによって異なる症状を示す疾患もある」といった特有の背景があります。
そのため、障害者総合支援法に基づく難病支援制度では、対象疾患の患者さんは、必要と認められれば障害者手帳を持っていなくても障害福祉サービス(「就労支援」や「居宅介護」など)を利用できる場合があります。

参考リンク|障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の一覧(厚生労働省)

4. 難病と小児慢性特定疾病の違い

「指定難病」と並ぶ、希少疾患の支援制度に「小児慢性特定疾病」制度があります。
こちらは「児童福祉法」に基づいており、児童の健全育成を目的としているため、対象は18歳未満の小児*です。

*18歳到達時点ですでにこの制度の対象になっており、引き続き治療が必要と認められる場合、20歳未満まで延長可能

小児慢性特定疾病の主な要件は以下の4点です。2026年4月現在、801疾病が指定されています。

■児童福祉法が規定する「小児慢性特定疾病」の主な要件
  • 慢性に経過する疾病であること
  • 生命を長期に脅かす疾病であること
  • 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
  • 長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

小児慢性特定疾病は治療期間が長く、医療費負担が高額となることが多いため、医療費の自己負担の一部が助成されます。また、各自治体で自立や成長のための支援を受けることができます。

参考リンク|小児慢性特定疾病の対象疾病リスト(小児慢性特定疾病情報センター)

5. 本記事のポイント

  • 「難病」は治療方法が確立していない長期の療養を必要とする疾患です。その多くは患者数が少なく、発病の機構が明らかになっていません
  • 「難病」が指す対象や範囲は、法律や支援制度によって異なります
  • 「難病」=「治療法がない」ではありません。多くの疾患では、症状を和らげるための治療(対症療法)が存在します

この記事が、難病とそれにまつわる医療制度を理解するための一助となれば幸いです。

※関連記事:難病や障害がある人への支援制度(助成・手当)

参考資料

  1. 指定難病. 厚生労働省.
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html). (2026年4月23日閲覧)
  2. 障害者総合支援法の対象疾病(難病等). 厚生労働省.
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/index.html). (2026年4月23日閲覧)
  3. 難病患者さまとご家族向け支援ガイドブック. 難病情報センター.
    (https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260325_shien1f.pdf). (2026年4月23日閲覧)
  4. 概要. 小児慢性特定疾病情報センター. (https://www.shouman.jp/about/principle/). (2026年4月23日閲覧)
  5. 指定難病の要件について. 第60回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(持ち回り開催)資料. 厚生労働省. (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44244.html). (2026年4月23日閲覧)
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