2024.12.02

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患者会について~支え合いと情報共有の場~

病気と診断されたとき、多くの方が不安や孤独を感じることでしょう。そのようなとき、同じような経験を持つ人々とつながることができる「患者会」の存在は、大きな支えとなることがあります。
本記事では、患者会を初めて耳にする方々に向けて、基本的な情報をお伝えします。

1. 患者会とは

患者会とは、同じ病気や障害、症状など、何らかの共通する患者体験を持つ人々やそのご家族が集まり、互いに支え合い、情報を共有する団体です。会の結成のきっかけや動機はさまざまですが、ほとんどが患者さんとそのご家族が主体となり、疾患の理解や社会的認知度の向上、医療・福祉の改善などを目指して活動しています。

2. 患者会の主な役割と活動内容

日本難病・疾病団体協議会によると、患者会は「自分の病気を正しく知る(病気を科学的に把握しよう)」「患者・家族が励ましあい、助け合う(病気に負けないように)」「病気であっても希望をもって生きられる社会を目指す(本当の福祉社会を作る)」の3つの役割を持っているとされています。この役割を担うため、患者会はさまざまな活動を通じて患者さんやそのご家族を支援しています。
具体的な活動内容の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 情報共有

    - 病気に関する最新の治療法や研究成果の情報共有

    - 専門家や医師を招いた講演会やセミナーの開催

    イラスト:人物

  • 心理的サポート

    - 同じ経験を持つ人々との交流

    - 悩みや不安の相談と共有

    イラスト:人物

  • 権利擁護

    - 医療制度や社会保障制度の改善を求める活動

    - 患者さんの声を社会に届ける取り組みや疾患啓発活動

    イラスト:人物

3. 患者会の種類

患者会はさまざまな種類があり、特定の疾患に特化した会もあれば、多くの疾患をカバーする包括的な患者会もあります。また、特定の地域に住む患者・家族を対象にした会から国際的に展開するグループまで、規模も多岐にわたります。
以下に、主な患者会の形態を紹介します。

種類
特徴
疾患別患者会
特定の疾患や症状に焦点を当て、専門的な情報交換が可能です。
全国規模から地域限定まで多様なグループが存在しています。
地域別患者会
特定の地域で活動し、対面での交流を中心としています。
地域の医療資源に関する情報交換が充実しています。
オンライン患者会
SNS上の疾患別グループ、患者向けSNSのコミュニティなどが該当します。インターネットを介して交流するため、地理的制約がない点が特徴です。
病院主催の患者会
病院の患者さんが中心で、医療スタッフのサポートが比較的得られやすい点が特徴です。
家族会・遺族会
患者さんのご家族やご遺族が中心で、介護経験の共有や同じ悩みを抱える人と出会うことで対応策が見つかるかもしれません。
国際的な患者会
複数の国にまたがる活動により、国境を越えたネットワーク形成が可能です。海外の患者さんと連携を図ることもできます。

4. 患者会の見つけ方

患者会は、設立のきっかけや対象疾患、どのような層に重点を置いているかなど、それぞれに特徴があります。以下に、自身の状況やニーズに合った患者会を見つけるための方法を紹介します。
複数の方法を組み合わせることで、自分に合った患者会を見つけやすくなります。

イラスト:人物

  • インターネットで検索する

    [検索のコツ]

    • 例:ムコ多糖症 + 「患者会」「患者団体」「サポートグループ」「Patient Advocacy group」などのキーワードで検索
    • 地域名を加えると、近くの患者会が見つかりやすくなります。
  • 医療機関へ直接相談する

    主治医や看護師、医療ソーシャルワーカーへ相談すると、信頼性の高い情報を得やすく、自分に合った患者会を紹介してもらえる可能性があります。

  • 公的機関のWebサイトを利用する

    自治体などの公的機関が、自らのWebサイトで患者会の情報をまとめている場合があります。例えば、「千葉県がん情報 ちばがんなび」では、県内で活動する主ながん患者会を紹介しています。

    他にも、公益財団法人などの非営利法人が患者会の一覧を提供しているケースもあります。例えば、「難病情報センターのWebサイト」では、「患者会情報」から日本難病・疾病団体協議会の加盟団体などの一覧を見ることができます。

  • SNSや患者向けコミュニティサイトを利用する

    近年のソーシャルメディアの普及に伴い、オンラインで活動する患者コミュニティが増えています。既存のSNS上で活動する団体のほか、患者同士の交流に特化したサイトも登場しています。

    このようなサイトは個人が気軽につながることができる一方で、個人情報の取り扱いには十分注意が必要です。

5. 患者会へ参加する際に注意しておきたいこと

患者会の中には、まれに根拠のない特定の治療法を強く勧める団体もあります。患者会への参加を考える際は、資料を請求したりWebサイトやSNSを確認したりして、活動内容をよく確認することが大切です。また、個人情報の取り扱いには十分注意し、ひとりで悩まず、さまざまな人の意見を踏まえて判断することが重要です。

参加する前の確認事項

  • 患者会の目的と活動内容
  • 参加条件
  • 会費の有無
  • 活動場所と頻度
  • 連絡方法

6. 最後に

患者会は、病気と向き合う患者さんとその家族にとって、重要なサポート基盤となっています。近年では、単なる情報交換の場を超えて、国や自治体と連携したり、新しい治療法の研究・開発に参画したりすることで、医療の質の向上や社会啓発へ貢献する存在としての役割も期待されています。患者会への参加を検討される方が、ご自身の状況に応じて最適なコミュニティを選択できることを願っています。

参考資料

  1. 患者会の3つの役割, 日本の患者会WEB版, (https://pg-japan.jp/three-roles/)(2024年10月30日閲覧)
  2. 希少疾患交流情報サイト「なんコミュ」, (https://nancommu.net/)(2024年10月30日閲覧)
  3. 療養生活のためのヒント患者同士の支え合いの場を利用しよう, 国立がん研究センターがん情報サービス,(https://ganjoho.jp/public/support/hint/hikkei_02-01-08.html)(2024年10月30日閲覧)
  4. 患者の立場から製薬企業への期待, 製薬協シンポジウム, 2021年10月4日,
    (https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/symposium/lofurc000000tjj9-att/20211021_06.pdf)(2024年10月30日閲覧)
  5. Types of patient organisations, The European Patients’ Forum (EPF),
    (https://www.eu-patient.eu/members/what-is-a-patient-organisation/types-of-patient-organisations/)(2024年10月30日閲覧)
  6. Rare disease patient advocacy groups, National Genomics Education Programme,
    (https://www.genomicseducation.hee.nhs.uk/genotes/knowledge-hub/rare-disease-patient-advocacy-groups/)(2024年10月30日閲覧)
  7. 患者の望みを支える「患者主体の医療」実現のための研究会 報告書, 内閣府,
    (https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2201_03medical/220831/medical08_0101.pdf)(2024年10月30日閲覧)
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