モーダルシフトとは?人と地球にやさしい未来を実現する新しい輸送のかたち
物流2024年問題と環境問題に挑む、メディパルグループの挑戦
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現在の物流業界では、物流の2024年問題といわれるドライバー不足や環境負荷の問題が深刻化していることをご存じでしょうか?
メディパルグループではこれらの問題の対応策として、2021年より医薬品輸送においてモーダルシフトを取り入れ、サプライチェーン全体最適のための取り組みとして展開しています。
この記事ではメディパルグループが取り組むモーダルシフトについて紹介します。
株式会社メディセオ
北海道から関西地方まで事業を展開し、医療用医薬品や医療機器の卸売を中心に行っています。主に医薬品、医療機器、関連資材を取り扱い、効率的な物流システムを通じて医療機関や薬局へ安定的に供給することで地域医療の基盤を支えています。
株式会社メディスケット
全国に事業を展開し、医薬品や検体の配送を中心に行っています。主に医薬品、検査資材、検体などを取り扱い、医療と検査の物流機能を融合した高品質な物流サービスを提供することで、ヘルスケア領域の発展に貢献しています。

物流業界が抱える「物流の2024年問題」
メディパルグループは人々の生命や健やかな暮らしを支えるために欠かせない商品の流通を担っています。平時・有事にかかわらず、必要な時に必要な量を必要な場所へお届けすることを使命としており、安全・安心な流通ネットワークの構築、製薬企業から医療機関・調剤薬局、その先の患者さんまでのサプライチェーン全体最適の物流の実現を目指しています。
現在の物流業界では「物流の2024年問題」や「環境問題」が深刻化しています。
「物流の2024年問題」とは、2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働が制限されることで生じる問題の総称です。運べる荷物の量の減少、長距離輸送の困難化、そしてドライバー不足の加速が挙げられます。特に、配送の遅延や、医薬品・日用品など私たちの生活に必要不可欠な物資の供給に支障が出るリスクが懸念されています。
また、自動車から排出される二酸化炭素などの温室効果ガスを原因とする気候変動が世界中で問題となっています。このまま気候変動が進めば、異常気象が増加し、供給網が寸断されるなど安定的な流通体制に影響を及ぼすことが懸念されます。そのため、物流業における温室効果ガス排出量の削減も避けては通れない課題となっています。
将来にわたって安全・安心な流通ネットワークを維持するためには、ドライバー不足への対応や、温室効果ガス排出量の削減という大きな課題を克服しなければなりません。
そこで、メディパルグループでは2021年からモーダルシフトを導入しています。

モーダルシフトで未来の流通を拓く
モーダルシフトとは、輸送手段をトラックに代わり、鉄道や船に切り替える動きのことです。
鉄道で貨物を運ぶことで、トラックでの輸送に比べて、必要な人手を大幅に削減することができ、ドライバー不足の解消につながります。
また、モーダルシフトにより、温室効果ガス排出量を大幅に抑えることや災害時でも比較的安定して貨物を運べる、渋滞や事故のリスクを軽減できるなどのメリットがあります。
全国に流通網を持つメディパルグループでは、物流センター間での医薬品の長距離輸送を行っています。その輸送において、多くのドライバーを必要とし、大量の温室効果ガス※が排出されていました。
※委託輸送における温室効果ガス(Scope3 カテゴリー4「輸送、配送(上流)」)
そこで、メディセオ、日本貨物鉄道株式会社、日本フレートライナー株式会社、日本石油輸送株式会社の4社共同プロジェクトにおいて物流センター間の医薬品移送のモーダルシフトの導入に向けて検討を開始しました。

医薬品輸送の新たな形の実現
医薬品輸送においてモーダルシフトを導入するためには、いくつかの解決すべき課題がありました。
医薬品流通では「GDPガイドライン」に準拠した厳格な品質管理が求められます。
まず、輸送中も徹底した温度管理を行うため、食料品や農産品での輸送でも使われている真空断熱パネルを採用した「スーパーURコンテナ」を導入しました。これにより、夏季でも25℃以下をキープして輸送することが可能となりました。また、より低い温度管理(2℃~8℃)が必要とされる医薬品は、75時間温度を維持できる保冷ボックスも導入しました。
次に、鉄道特有の振動対策については、輸送中の揺れによる商品の破損防止のためパレットごとにストレッチフィルムを巻き、厳重に固定しました。さらに、積み込みの際にはドライバーとフォークリフトの操縦士が緊密に連携し、隙間なく積み込み、緩衝材パネルも活用してコンテナ内の隙間を最小限に抑えています。
また、自然災害により鉄道が止まった際の対応として、代替輸送手段を整備するなど、さまざまな課題を解決することでモーダルシフトでの医薬品輸送を可能としました。

サプライチェーン全体最適化につながるモーダルシフト
メディパルグループでは、2021年から首都圏~東北エリアにおける医薬品の鉄道を活用したモーダルシフトを開始し、2025年現在では北海道・関西エリアにもその範囲を広げています。今後もさらなるエリア拡大を検討しています。
また、メディパルグループが取り組むモーダルシフトの活動は、医薬品を必要としている人だけではなく、サプライチェーン上で関わるパートナーを支えることにもつながっています。例えば、製薬企業から医薬品を仕入れる際に、従来は全国各地の物流センターに届けてもらう必要がありました。しかし、モーダルシフトによって、安定した物流センター間の輸送が実現したため、製薬企業から納品してもらう物流センターの集約をすることができました。これにより、製薬企業のドライバーの負担軽減、温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。
これらのモーダルシフトの取り組みは高く評価され、さまざまな賞を受賞しています。
<本取り組みにおける主な受賞歴>
• 第22回物流環境大賞「低炭素物流推進賞」
• 令和3年度(第20回)グリーン物流パートナーシップ会議 優良事業者表彰「特別賞」
• 第24回物流環境大賞「特別賞」
こうして届いた医薬品が、日々皆さんのそばにある薬局の棚に並んでいるかもしれません。

「医療と健康、美」の流通を支えるたゆまぬ挑戦
モーダルシフトは、単なる輸送手段の変更にとどまりません。ドライバー不足や環境問題の解決による社会的価値に加え、コスト削減やサプライチェーンにおけるパートナーへのメリットなどの経済的価値を創出することで、メディパルグループの更なる成長につながる取り組みです。
モーダルシフトで使用するコンテナには、「医療と健康、美」の流通を日本中に途切れることなく繋げていきたいという思い、たくさんの方々に薬を届けたいという思いが込められたデザインを施しています。
メディパルグループではこれからも、安全・安心な流通ネットワークを革新的な取り組みで構築し、医薬品のサプライチェーン全体の最適化を目指していきます。「医療と健康、美」を流通で支え、持続可能な社会の実現に向けてメディパルグループの挑戦は続きます。