消費者が買いたくなる売場ができるまで
PALTAC、ディスカウントストアへの棚割提案
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ドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニエンスストア、ホームセンター、スーパーマーケットなどのお店の棚には、さまざまな種類の商品が並んでいます。
普段、何気なく棚から手に取っている商品・・・。この“棚”に、株式会社PALTACが大きく関わっています。同社の東京支社広域営業部に所属、大手ディスカウントストアチェーンを担当する内田雄樹の「棚割提案」を追いながら、売場ができるまでをご紹介します。
株式会社PALTAC
全国に事業を展開し、日用品、化粧品、一般用医薬品の卸売を中心に行っています。主にドラッグストアやスーパーマーケット向けに日用品、化粧品、ヘルスケア用品を供給しており、効率的な物流と豊富な商品ラインナップを生かして暮らしの質を高めています。

消費者が商品を思わず手に取りたくなるような、魅力的な売場をつくるために
いつも行くドラッグストアやコンビニエンスストアの品揃えが、季節ごとに変わっているのを、目にしたことはありませんか?ディスカウントストアやドラッグストア、コンビニエンスストアなど小売業では、世の中のトレンドや消費者ニーズ、流行りの商材をタイムリーに反映するため、年に数回、売れ筋商品を見直し、商品を入れ替える、「棚割」と呼ばれる一連の業務があります。
「私の担当先であるディスカウントストアチェーンでは、2~3月(春)、8~9月(秋)の半期に一度、棚割を行っています(内田、以下同)」
実は、多くのメーカーが、春と秋に新商品を発売し、このタイミングで棚割が行われます。簡単に言えば新しい商品など注目を集める商品は、お店を訪れた人の目につきやすく、手に取りやすい場所へ陳列し、売れ筋は陳列幅を増やしてもらうよう、PALTACはメーカーとタッグを組み、小売業へ交渉・提案を行います。それが「棚割提案」。
「私のチームでは、化粧品、日用品、健康食品など、商品カテゴリーに合わせて営業担当者が分かれていて、私は、スキンケアとメイクの化粧品全般を担当。商談している化粧品メーカー様は20~30社で、半期ごとに提案する商品の数は、スキンケアだけでも150~200種類に及びます」

まずは、消費者と小売業のニーズが交わるところを把握することから
では、棚割提案は、どんな流れで行われるのでしょう。
数多くのメーカーから新商品の紹介(用途、成分、効果効能、ターゲット層等の説明)を受けます。同時に、PALTACの社員は小売業のニーズ、消費者のニーズを改めて確認し、両者のニーズが交わるところを把握し、魅力的な売場となるような商品を小売業に提案していきます。
「トレンドはどんどん変わっていきます。例えば化粧品なら、メイク落としなどカテゴリーごとに、あるいはオイル剤、クリーム剤など製剤によってもニーズは異なります。たとえ世間一般でオイル系化粧品が流行っていたとしても、担当する小売業様の店舗でオイル系商品が売れているとは限りません。小売業様のエリア、店舗によってお客様の購買傾向・目標など、どんな商品がお客様に合っているのかを踏まえ、力を入れたい商品も変わります」
同じような商品を扱うチェーン店でも、品揃えや配置が微妙に違っているのはこのため。PALTACの社員は、商品ごとの売上動向を示すデータなどを分析し、バイヤーやマーチャンダイザーと呼ばれる仕入れ担当者と検討を重ねながら、小売業がその商品カテゴリーに求める商品を把握していきます。

小売業とメーカー、双方の思いをつなげるために
把握したニーズをもとに、PALTACはメーカーと共に棚割提案に向けた協議を始めます。
目指すのは、消費者が求める商品を、いち早く売場に展開すること。もちろん小売業とメーカーの売上に貢献することも大事。そこにはメーカーのブランド戦略、販売戦略なども絡んできます。
「単に新商品の売上を伸ばしたいというだけでなく、他のメーカー様やブランドと競争しつつ、どんなポジションを獲得したいかなど、メーカー様それぞれに戦略があります」
小売業とメーカー、双方の戦略、目標を達成、思いを叶えるために、PALTACはさまざまな企画を考えなければなりません。
「限定パッケージなど、いわゆる限定商品などは、その一例ですね」
パッケージに「●●限定!」なんて書かれていると、思わず手に取ってみたくなりますよね。“限定品”は注目度、集客アップが望めます。消費者にとってもより付加価値が高くなるため、商品棚で目につきやすい、手に取りやすい場所を確保してもらう交渉をします。
「戦略、ニーズはもちろん、店舗の雰囲気やエリア特性、客層、バイヤーの考えまで、担当店舗に関しては自分が一番知っているという自負があります。だから、メーカー様が提示してきた企画を、より具体性をもって小売業様向けに合う内容へ変更してもらう場合もあります」
こうして、PALTACとメーカーは、2ヶ月ほど試行錯誤と協議を重ね、提案内容を詰めていきます。

提案では、データをもとに具体的な根拠を積み重ねて説明
いよいよ小売業への提案です。練りに練った企画を説明し、把握している小売業のニーズに対して、メーカーが提案する商品にチャンスがあるかを探っていきます。
売上データなどをもとに、具体的な根拠を積み重ねて説明していくのが提案の基本。一方で、新商品と既存品、または既存品と既存品の差し替えをしたとき、その商品がお客様に受け入れられそうか、話題性なども重要な要素となります。また、メーカーの販売戦略が、小売業のビジネスにどれだけマッチするかという点も評価されます。
「だからこそ、話題性が期待でき、小売業様に限定した施策“限定商品”が重要になります」
しかし、限定商品を含め、どれだけメーカーと協議を重ねた提案であっても、すべてがすぐに採用となるわけではありません。提案に対して細かい要望が、小売業から出されることも多々あります。PALTACでは、専用ソフトを使って新しい棚割をパソコン上でシミュレーションしたり、あるいは、PALTACのオフィスにあるMDルームに実際の店舗そっくりの商品棚を再現したりしながら、検討を重ねていきます。
メーカーから新商品が案内されてから3ヶ月ほどを経て、ようやく新しい棚割が決定。そして、小売業、メーカーとPALTACが作り上げた理想の棚割が、日本全国の店舗に展開されていきます。

店舗での売場づくりにも関わり、ビジネスは現場で覚えていく
PALTACの役割はこれで終わりではありません。PALTACは実際の店舗の売場づくりにも携わっていきます。
決定した棚割をもとに、店舗スタッフと相談しながら、一商品一商品並べ、店舗にあった売場づくりに協力していきます。商品を紹介するPOPも、商品のアピールポイントも、設置位置も店舗スタッフと一緒に考えていきます。
「入社して間もない若手などが、この仕事に携わることが多いですね。私も入社して3年間は、毎日店舗を訪問し、店舗スタッフの方と一緒に関わる事ができていました。おかげで自社の取り扱うさまざまな商品についても現場で覚えることができました。」
売場は生き物だと言われています。売場を作る、陳列作業を行うなど、売場で市場の流れを感じることで、PALTACの社員は、棚割の実務を理解するだけでなく、店舗の雰囲気や客層、どんな人がどんなときに商品を手に取るかなどを把握していきます。それにより、小売業のビジネスをサポートする業務を学んでいくのです。

広く深い知見があるから、多くの小売業やメーカーから評価される
内田が担当している小売業である大手ディスカウントストアチェーン以外にも、PALTACは現在、400社、50,000店舗を超える小売業とビジネスをしています。取引するメーカーは、化粧品、日用品、一般用医薬品、健康・衛生関連品など1,000社以上。街でよく見かけるあの店の、いつもの商品を手に取るあの棚も、PALTACが手がけたものかもしれません。
なぜ、PALTACは、これほどの多くの小売業、メーカーと取引できるのでしょう。
「お得意様からは、『会社として強固な物流基盤があることが安心』と言われます」
確かにPALTACは、全国に23の主要な物流拠点を持ち、全国どこでも安定的、効率的に商品を届ける物流網を持っています。
「でも、一番は、誠実(自社の利だけを考えない)と信用(信頼に応える)に基づく、広く深い知見を持っていること、人々に当たり前の生活を当たり前に支えつづける使命がある、という根底に流れる理念の賜物なのかも知れません」
小売業は、さまざまな商品を扱うことが多く、広く消費者動向や消費トレンドを把握しています。一方、メーカーは、自社商品のターゲットや先行したトレンド情報に深い見識を持っています。
両者と密接に関わるPALTACには、双方の知見も蓄積されていきます。そして、店舗の売場担当者の考え方に至るまでを理解しているため、関わる全ての「代弁者」となることも可能。だからこそ、小売業もメーカーも、まずはPALTACに問い合わせ、PALTACはそれに応えることで信用を獲得していきます。この信用から、多くの小売業、メーカーとの取引が生まれているのです。

「誠実と信用」が、創業以来掲げてきた基本精神
「信用はとても大事です。我々のビジネスは、人と人との関係で成り立っています。『内田の提案だからやろう』と言われるような関係を、社員一人一人が築いていかなければなりません。そのために私は、小売業様やメーカー様の問い合わせに、スピード感をもって応えるよう心がけています。常にアンテナを張り、自分が担当する商品カテゴリーに関する情報を収集するようにしています」
また、自社の利益のみを追求しても信用はされません。
「棚割提案のように、我々の取り組みが小売業様やメーカー様の売上に貢献することはもとより、消費者の皆さまにも、欲しい商品が、欲しい時に手に取ってもらえる、安定供給できる、そんな売場実現を目指しています。そして『三方よし』を、誠実に追求していく姿勢が大切だと思っています」
「誠実と信用」こそ、PALTACが創業以来、一貫して企業活動・従業員の行動の原点としてきた基本精神に他なりません。
いつものお店で、いつもの買い物をする“当たり前にある売場”。それは、小売業とメーカーの思いをつなぐ、内田たちPALTACの社員が誠実な姿勢で業務に臨み、信用を築いたひとつの証しなのです。

社員の想い
取り組みを通じて、毎日をつむいでいる社員の想いを、インタビュー映像でご紹介。