こんなところにも?気付かないところでQOLを高めてくれる万能原料「グリロイド®」とは?
捨てられていたタマリンドの種から生まれた革新。食品・化粧品業界を変える原料の全貌に迫る
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「グリロイド®」という原料をご存じでしょうか。グリロイド®とは、タマリンドという植物の種子から作られる原料 です。
もともとは捨てられることが多かったタマリンドの種子が、現在では食品や化粧品などに広く用いられており、私たちの生活の質を上げています。
製品化から60年経った現在も無限の可能性を秘め、研究開発が進められているグリロイド®とは、どのようなものなのでしょうか。
この記事では、グリロイド®の概要や人気の理由、私たちの身近で活躍しているグリロイド®について解説していきます。
MP五協フード&ケミカル株式会社
全国に事業を展開し、食品原料や化学製品の製造・販売を中心に行っています。主に多糖類、調味料、医薬品原料、化粧品原料などを取り扱い、高い品質基準と柔軟な対応力で産業界の発展を担っています。

美味しさの探求から生まれた『グリロイド ®』
グリロイド®は、主にタイやインドなど東南アジアで栽培されているタマリンドというフルーツの種子から作られる原料です。タマリンドの実はタイやインドなどで日常的に食されますが、その種子はほとんど活用されずに廃棄されていました。
しかし、捨てられる種子には、食物繊維やたんぱく質、脂質などが含まれています。そしてその成分には「自然なとろみがある」「食感が良い」「保湿効果が高い」など、さまざまな特徴があることがわかりました。
「これらの特徴を活かせば、食品はもっとおいしくなるのではないか」との思いのもとに製品開発が進められ、1964年には「グリロイド®」の名前で販売がスタートします。
つまり、グリロイド®は「食品のおいしさをより高めたい」という思いから作り出されたのです。

食卓からスキンケアまで~広がるグリロイド®の可能性
グリロイド®はもともと食品に利用する目的で製品化され、主にソースやドレッシングのとろみ付けなどの目的で利用が広がっていきました。
グリロイド®を水に溶かすと糸を引きにくい程度のほどよいとろみがあるため、食品が口の中に均一に広がり、滑らかな口当たりを実現します。佃煮や漬物などの食品表面にツヤ・テリを出すことにも一役買っています。
しかし、グリロイド®の魅力は、食品のおいしさや見た目の良さを高めるだけではありません。植物種子という自然由来の食品添加物ですが、その成分の本質は食物繊維であることから、健康志向の人たちからも人気を集めるようになりました。
また、捨てられることが多かったタマリンドの種子をアップサイクルして利用しているため、グリロイド®は環境保護にも貢献しているといえます。
誕生から60年が経過した現在、グリロイド®は私たちが日々口にしているさまざまな食品に欠かせないものとなりました。タレやソースの自然なとろみ、スープや飲料の濃厚感、冷菓の口溶けの良さ、小麦粉製品のしっとり感などを、グリロイド®はサポートしてくれています。

スキンケアの新定番~保湿力で注目を集める『グリロイド®』
グリロイド®に高い保水力があることが分かると、食品だけではなく化粧品などにも活用の幅が広がっていきました。自然なとろみと厚みがあるという使用感の良さも相まって、スキンケア製品に広く応用されています。
2021年には欧州を中心に化粧品向けの『TAMAVISCO®』の販売がスタートしました。
「乾燥による小じわを目立たなくする」効果も確認できているグリロイド®。グリロイド®を塗った肌はしっとり感が長く続き、その保湿力は保湿成分として有名なヒアルロン酸以上であるともいわれています。
現在、グリロイド®は化粧水や乳液、クリーム、ジェル、シャンプー、ボディソープなどさまざまな製品に使用され、私たちの肌や髪を健やかに保つ手助けをしてくれています。

暮らしをもっと豊かに~グリロイド®の挑戦は続く
60年も前から、私たちの身の回りのさまざまなシーンで活躍してきたグリロイド®。しかし、グリロイド®の働きは完全に解明されたわけではありません。MP五協フード&ケミカルでは、グリロイド®にはまだまだ秘めた可能性や活用法があると考え、さらなる研究開発を進めています。
例えば、食品分野においては、プラントベース食品へのグリロイド®の活用を模索しています。プラントベース食品とは、原材料に植物由来のもののみを使用して、肉や魚に似せて作る食品のことです。消費者の健康志向の高まりに加え、地球環境への負荷軽減にもつながることから、近年注目を集めています。
また、グリロイド®は食品から水分が逃げないようコントロールしつつ、食感をキープできます。この性質を生かすことで、食品を噛んだり飲み込んだりしにくくなってきた方にも、安心しておいしく食べられる幸せを感じていただけるよう、介護食への応用にもチャレンジしています。グリロイド®はたんぱく質と混ざっても不均一な凝集を起こしにくいため、高たんぱくの食品にも使用できます。
そして、グリロイド®が人々の健康に寄与できるように健康機能に関する研究を行っており、機能性表示食品の原料としての開発を進めています。
さらに、グリロイド®を使った水に溶ける食べられるフィルムの研究も進んでいます。例えば、カップラーメンの粉末調味料や乾燥具材の包装容器にグリロイド®を使用すれば、お湯で溶けるため包装容器は残りません。これはつまり、廃棄物低減にもつながることを意味しています。
このように、グリロイド®には現時点では発見できていない使い道がまだまだあると考えられます。MP五協フード&ケミカルは、これからも既存の活用分野にとどまらず、より幅広い分野でグリロイド®が人々の生活に貢献できるよう、新たな使い道を探し続けます。